おさんぽで、首がしまることは、もうない。
自ら手織りした布を用い、わんちゃんの心と体に負担をかけにくい形のハーネスをオーダーメイドで製作しています。 のんびりゆったりおさんぽできる3mリードもおすすめです。

実践!自然散歩


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ここまで長い話にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
いよいよ、具体的な自然散歩の方法についてお話ししたいと思います!

といっても、犬が自然に(自由に)なおかつ安全に歩くことができれば、それはもう自然散歩です。
ここで紹介する方法は、あくまでもわたしのやり方です。
ひとつの参考としてお読みいただき、あなたのわんちゃんに合った、あなたにとってやりやすい方法を見つけ出してくださいね。

 
散歩に行く前に
歩き出す前に、次のものがそろっているかご確認ください。

・犬が自由に動いても危険のない場所
・「自然でしあわせな犬」と生きていこうとする気持ち
・動きやすい服装
・犬のからだに負担のかからないハーネス
・3m程度の長さのあるリード
・うんち袋
・いざという時のための犬のオヤツ少々
・暑すぎない気温

準備はOKでしょうか?
では、さっそく自然散歩をはじめましょう!
 
基本方針
以下が、わたしの考える自然散歩の三大原則です。
おさんぽごとに状況がかわっても、この原則を守っていれば自然かつ安全におさんぽが出来ると思います。

犬を誘導しない
犬に具体的な何らかの行動を期待すること、また、その行動を取るように働きかけることはやめましょう。
犬が歩きたいのであれば歩く犬のあとをついていき、犬がにおいを嗅ぎたいのであれば犬のそばに立って待っていましょう。

多くの犬は飼い主さんの希望にしたがっておさんぽすることに慣れています。
リードを引くことは当然NGですが、声を掛けるどころか、あなたが何かを望むだけでも、その気持ちは多かれ少なかれ犬に伝わり、犬の行動はそちら側に誘導されがちです。
「あっちに行こう」「ここのにおい嗅ぐ?」「気持ちいいから走ろう!」など、よかれと思っての提案もぐっと我慢して、犬が自分でしたいと思うままに任せましょう。
犬は歩きたければ歩き、走りたければ走ります。
あなたは犬の気持ちの動きに注意し、ぼーっとしていて突然の行動に追い付かなかった!ということのないようにしておけば十分です。
時々犬が振り向いてくれたら、「いいんだよ!ここにいるよ!」と笑顔でうなずいてあげましょう。

犬の邪魔をしない
犬が何らかの行動を取りはじめたとき、明らかな危険性がある場合を除き、その行動を邪魔するのはやめましょう。
犬は人間にとっては意味不明な行動を取ることもあります。
それでも、犬が満足して次の行動に移るまで、黙って待っていてあげましょう。
「そこのにおいはもう十分嗅いだでしょ」「ここ通るの何回目?」いろいろ思うことはあるでしょうが、これまた我慢です。
好き勝手しているようでも、犬は飼い主さんの気分を敏感に察します。
「もう帰りたい!」「いい加減にして~」そんな風に思ったら、犬もおさんぽを楽しめなくなります。
おりこうモードになってしまう子もいれば、逆にムキになってその時の行動に執着する子もいますが、どちらにしても「自然な」状態ではなくなってしまいます。
「意味の分からないところが楽しい」「夢中になってかわいい」と前向きに捉えることです。
実際、一生懸命に自分の興味を追求している犬の姿はとてもかわいく、言い方によってはちょっと面白いものでもあります。

状況を見極める
誘導も邪魔もされないということは、犬が自由に動き回れるということです。
そのために危険のない場所を選んでおさんぽに来ているわけですが、それでも100%安全が保障されている場所というのはありません。
基本的に、自然散歩を満喫している犬は自分のそのときどきの行動に全力投球です。
周囲の状況を確認し、危険を事前に避けるのは飼い主さんの役目になります。

飼い主さんは犬を見つつ、犬の見ているものを見つつ、犬が見ていないものも見なければなりません。
そして、避けるべき危険と避けなくてもよい危険を見極め、避けるべきであると判断した場合には出来るかぎりソフトな形で犬を誘導しましょう。
先の「誘導しない」の方針と矛盾しますが、これは!という時には仕方がないものとわたしは考えています。
危険を見過ごして犬に害を与える方が、よりよくないことであると思うからです。
ただし「避けるべき」の判断には単に自分が嫌なことや面倒に思うことを含めたりせず、本当に避けるべき危険だけを避けるようにしましょう。

また、飼い主さんは千里眼ではないので(これを言い訳にしてはいけませんが)、場合によっては気づいたときすでに犬が危険に突入してしまっていた!ということもあると思います。
その時は犬の行動を邪魔することによって中断し、犬を危険から引き離す必要が出てくることもあるでしょう。
「邪魔すること」は「誘導すること」よりも慌ただしく、力の入ったものになりがちです。
やむを得ないときがないとは言いませんが、飼い主さんがよく注意していれば「邪魔をする」段階に行く前にほとんどの危険は避けられます。
最大限周囲に注意を払い、邪魔する必要のある状況にそもそも犬が陥らないよう、気を付けていきましょう。
とはいえ警備員のような気持ちで周囲を警戒しなくても、リラックスしながら適度な緊張感を保っていれば大丈夫です。

 
リードのさばき方
はじめて自然散歩をする上で、一番とまどうのが普通より長いリードのさばき方です。
気を抜くとうまくさばけず、短いリードよりも不自由な道具になってしまうこともあります。
リードにばかり気をとられていても、犬から注意がそれてかえってリードを張ってしまったり、近づく危険を見逃してしまったりすることもあり得ます。
実際におさんぽしながら身に着けていくしかない面もありますが、ここでは基本的なコツをご紹介します。

基本姿勢
犬がゆったり歩いているときのリードの持ち方です。
おさんぽスタート時も、とりあえずこの持ち方でスタートすればよいでしょう。

(1)左右どちらかの手にリードの端の輪っかを通す
この時、リードの端の輪っか部分に親指またはそれ以外の4本の指を通します。
わたしは右手の親指に引っ掛ける派で、元「ちいさないっぽ」しめじ先生は左手の4本指に引っ掛ける派です。
ちなみにふたりとも右利きです。
どちらでもリードの状態としては同じことになりますので、やりやすい方法を選んでいただければと思います。
手首に掛けるのでもいいとは思いますが、わたしは輪っかがゆらゆらする感じがして好みません。

(2)リードの1/4のところを同じ手の4本指に引っ掛けて握る
基本姿勢では犬とのあいだに約1.5mのリードが残るようにします。
これくらいあれば、普通に歩く分にはリードが張ることはありません。
よほど体高のある犬でない限り、1.5mより短くすることはおすすめいたしません。
これより短いと犬のすぐ後ろを付け回すようなかたちになってしまいます。
犬の体格や歩くペースによっては1.5mより長めでもいいかもしれませんが、はじめからあまり長くしていると、あとから伸ばす余地がなくなってしまいますので、ほどほどの長さでお願いします。
ここでは約1.5m残すということで話を進めます。
まず、手に持った端から70~80cmくらいのところを反対の手で拾い、輪っかを持った手の4本指に引っ掛けます。
この動きでリードを引っ張ることのないよう、犬との距離には十分ご注意ください。
次に、手のひらを通っているリードを、端の輪っかごとそのまま軽く握ります。
そうすると犬側の3/4が犬との間に伸び、人側の1/4が半分折りになって人の手から垂れている状態になります。

(3)リードの1/2のところを同じ手の人差し指と親指でつまむ
もう一度、さっき引っ掛けたところから70~80cmくらいのところを反対の手で拾い、リードを握っている手の親指と人差し指で軽くつまみましょう。
「つまむ」というよりは、人差し指に引っ掛けて親指で押さえると言った方が近いかもしれませんね。
これで、リードの全長の1/2が犬との間に伸び、もう1/2が四つ折りになって人の手から垂れている状態になります。
均等に折れていないにしろ、人の手から垂れているリードの長さはだいたい40cmくらいです。
これくらいなら絡むことも、邪魔になることもありません。
うまく握れていると、親指を緩めると(3)で拾った分が、4本指を広げると(2)で拾った分が、順番に展開していくはずです。
この展開がスムーズでないと、犬の動きにリードの有効長が追い付かず、思わぬときにリードが張り、せっかく3mのリードを生かしきれないことになってしまいます。
いきなり本番だと混乱するかもしれませんので、実際におさんぽに行く前に何度か練習しておくといいと思います。
なお、スムーズな展開が可能であれば、必ずしもこの持ち方でなくてはなならないわけではありません。

(4)リードを握っている手をへそ~骨盤辺りに固定する
絶対に動かしてはいけないということではありませんが、リードを持つ手が動くと犬との間の有効距離が変わってきます。
同じ長さのリードを持っていても、リードを持つ手が上にあがれば犬が人から離れられる距離が短くなることはお分かりいただけると思います。
犬との距離の調節は、リードを持つ手を上下前後に動かすことではなく、四つ折りにして握っている部分を展開したり、また回収して手に引っ掛けたりすることで行います。
手の位置を変えることでリードを調整するのに慣れてしまうと、ふとした時にリードを引く癖がついてしまいます。
また、人が歩くときは意識しなくても手が勝手に前後に動いてしまうことが多いのですが、リードをもっているときその動きをすると、犬がリードを通じて前後運動に振り回されてしまいます。
リードを引っ掛けている手はただのリードフックだと割り切り、出来るだけ動かさないように心がけましょう。

(5)反対の手で犬との間に伸びているリードを持つ
リードフックの手の位置を腰辺りの具合のいい場所に定めたら、反対の手で犬との間に伸びているリードを軽く持ちます。
こちらの手は腰の少し前の位置にくることが多いように思います。
わたしの場合は、肘が骨盤に当たっていることが多いです。 フックの手は大きく動かさないことが基本ですので、細かな調整はこちらの手で行うことになります。
この時、リードを上から握るのではなく、手のひらを上に向けるようにします。
ゆったり歩いている間はただ手のひらの上にリードを乗せているだけで構いません。
リードを上から握るとついつい引っ張る力が入ってしまいやすいのと、ゆったり歩きでこちらの手の役目があまりないときに手がリードから離れてしまい、必要なときに必要な動きが出来なくなってしまうので、必ずリードの下から添えるようにしてください。 こちらの手の役目は主にアンテナです。
アンテナの働きについては、次の「リードを伸ばす」でご説明いたします。

(6)犬との間でリードが自然にたるむ距離を取る
リードフックの手は動かさず、アンテナの手にはリードが軽く乗っている状態です。
犬がゆったり歩いている間は、フックの手はこのままにして、犬との間のリードを最適な状態にしていきましょう。
犬を動かさずにリードの状態を変える方法はふたつあります。

・犬に歩調を合わせて自分が動くこと
・アンテナの手を上下させること

です。
基本は前者優先で、リードが張りそうになっていたら少し犬に近づき、逆にリードを引きずるような状態であれば少し犬から離れます。
移動の流れの中でフォローしきれない微調整をアンテナの手で行ってください。
アンテナの手でリードを握って動かすのではなく、あくまでも手の位置を上下させることでリードのたるみ具合を変えていきます。
1.5mしかないリードがたるんで地面につくときというのは、犬を踏みそうなほど近づいているか、手の位置がおかしなことになっている可能性が高いです。
リードが張れば犬の行動を制止することになり、リードが緩みすぎれば犬のからだや足に絡まってしまうことがあります。
張ることも引きずることもなく、リードが自然にプラーンと垂れた状態をキープするように気を付けて動いてください。
お互いの位置としては、犬のななめ後ろに人が立つくらいがちょうどいいと思います。
自然散歩の目的からして人は犬の前に出ないのですが、だからといって犬の真後ろを歩くと、犬によっては嫌がることがありますのでお気を付けください。

リードを伸ばす
犬が早足になったり、こまめな方向転換をしたり、突然立ち止まったり、 1.5mでは犬の動きについていけない可能性が出てきたら、リードが張りきる前に素早くリードを緩めましょう。
緩めはじめの合図となるのが、アンテナの手の感覚です。
手のひらの上をリードが動き出したら、リードを緩めるタイミングが来たということです。

(1)リードフックの手を緩める
アンテナの手がリードの動きを感じたら、フックの手の親指を緩めます。
すると、基本姿勢の(3)で引っ掛けた分のリードが手を離れますね。
(3)の分で足りないときは、(2)で引っ掛けた分も外しましょう。 フックの手の4本の指を開き、指先を下に向ければ重力で自然に外れていきます。
わたしと同じ持ち方をされている場合は、親指を上に向かって立てておけば、端っこの輪っかは外れません。
動きが速いときは素早く全部を伸ばしたほうがよいかもしれませんし、方向転換が細かいときはリードを長くしすぎると絡まりの原因になるかもしれません。
犬と自分の間のリードが程よくたるんだ状態をキープするために、そのとき必要なだけの長さを解放しましょう。
犬に引かれて「リードが伸びていく」のではなく、リードのたるみを保つために「リードを伸ばしていく」ということを意識してください。
必要な長さを解放したら、再び手を握りましょう。

(2)アンテナの手でリードを均一に展開する
フックの手から外れることにより、リードは約70cmずつ一気に長くなります。
ここでアンテナの手の支えがないと、必要よりも長くなりすぎ、リードを引きずってしまうことがあります。
飼い主さんの足元にリードが落ち、踏みつけてしまうこともあり得ます。
リードが張り気味のときなど、リードが緩んだことを感じて犬がスピードを上げたら、すぐに(約70cm後に)伸びきってガツンという衝撃を受けてしまうことにもなりかねません。
アンテナの手は、フックの手から外れたリードの影響が直に犬に伝わるのを避け、均等に、かつ必要な分だけリードを繰り出していく働きをします。
フックの手から外れたリードは一度飼い主の前でたるみ、アンテナの手を通ることで、犬の方へ一定の速さで繰り出されていくわけです。
基本姿勢では手のひらにリードをのせておくだけでいいと言いましたが、このときは親指と人差し指の付け根でリードを挟み、軽く力を掛けます。
とは言っても引っ張るのではなく、手の位置はそのままで、親指でリードを押し出しつつ、手のひらの上を滑らせていくイメージです。
このとき「指が熱い」「痛い」と感じるようでは力の入れすぎ、リードの張りすぎです。 犬との間のリードが張りきっていなければ、案外するするとリードは手の中を通っていくものです。
リード展開中にアンテナの手を強く握ることは絶対にやめましょう。 リードが伸び続けている状態で急に手を握ると、犬に急停止を強いることになり、犬のからだに負担がかかります。
おさんぽの最初から最後までそうあるべきですが、リード展開中であってもリードが適切な状態になっていることが望まれます。
アンテナの手の位置、指への力の入れ具合などによって、動きながらもアンテナの手と犬の間のリードのたるみを均一に保ちましょう。
伸ばしすぎた場合は「基本姿勢」の(3)の要領で余分なリードを改めてフックの手に回収してください。
実際には(1)と(2)は順番というより、ほぼ同時並行でおこなわれます。
こうして言葉で説明されると難しそうに思われるでしょうが、やってみればそう難しいことではありません。

(3)場合によっては走る
犬が走り出したときなど、たるみがどう長さがどうと考えながら緩めているのでは間に合わないことが多いと思います。
そういうときは体の動くままにパパッと緩めてしまって構いませんが、ふたつだけ忘れないでください。

・リードの輪っかは手から離さないこと
・リードが伸びきる前にあなたも走り出すこと

のふたつです。
手に引っ掛けたリードを展開している時間は、ある意味あなたが走り出す準備を整えるまでの時間稼ぎです。
可能であればリードを緩めながら走りはじめることですし、走るのが無理でも、少なくとも足を止めながら作業するのはやめましょう。
リードの一方が固定されている状態では、あっという間に3mという長さは張りきってしまいます。
走るのが遅くても、不恰好でも、なんでも構いません。
犬の進んでいく方向へ、とにかくあなたも前進運動を行いましょう!

重要な注意点
走ることは犬の自然な行動のひとつです。
と同時に、リラックスした(自然な)状態の犬というのは意外とのんびりしたもので、むやみに走りまわることはありません。
異様に興奮して走り続けてしまったり、走るまでいかなくても3mが常にピンと張っていなければ人が追い付けないくらいのスピードで前進し続けたりというのは、その犬にとっておさんぽを自然体で楽しむこころの状態が整っていない可能性があります。
「興奮」は自然に起こり得る精神状態だとは思いますが、「異様に興奮する」「興奮し続ける」ということは「自然」の範囲を超え、それ自体が犬にとっての悪いストレスになってしまうこともあります。
毎日毎回それが起こるようですと、興奮の背景に根深い問題が隠されている場合があり、ご自身で対処するのは難しい場合もあります。
また、あとで述べる「危険」の問題にも繋がりますが、普段はおだやかに歩いている子が突然走り出したときは、前方に何らかの危険物(主に食べ物)がひそんでいる場合もあります。
犬をよく見ていれば、楽しんでいるのか、興奮しているのか、食べ物に引き寄せられているのか、なんとなくでも区別がつくと思います。
犬および周囲の状況を見極め、犬が自然に、楽しく走り出したときにだけ、一緒に走ってあげるようにしてください。

(4)基本姿勢に戻る
一連の行動が終わり、犬のペースが落ち着いたら、いつまでもリードの端っこだけを持っているのではなく、タイミングを見て基本姿勢に戻りましょう。
フックでない方の手でリードの1/4のところ、続いて1/2のところをつまみ、フックの手に引っ掛けます。
このとき、犬を自分側に引き寄せるのではなく、自分が犬に近づきながらリードを縮めていくことが大切です。
近づくことで犬が遠ざかるのであれば、その距離を無理なく保てるくらいの長さは残しておきましょう。
その場合は1/2、1/4にこだわらず、ちょうどいい長さになるようにリードを拾ってください。
ただ、あまり細かく拾ってしまうと、手に引っ掛けるというより巻いているような状態になってしまいます。
ある程度ゆとりがないと必要なときにリードがするする外れていきませんので、巻き付け状態にはならないようご注意ください。

リードを縮める
通常は基本姿勢~伸ばした状態~基本姿勢を繰り返しながらおさんぽすることになりますが、 前方に危険を確認したとき、その犬が苦手とするタイプの犬や人とすれ違うときなど、犬をそばに引き寄せた方がいいこともあります。
使わないですめばそれに越したことはないですが、3mリードを使う以上、ひとつの方法として知っておいた方がいいでしょう。
「異様な興奮」状態になってしまった犬を落ち着かせたいときも、この方法を使って一度行動を区切ることができます。

(1)さりげなく早足になる
その時の犬の歩調より、少しだけスピードを上げます。
いきなり走ると犬もつられて走り出すことが多いので、あくまでさりげなく早足になることが肝要です。
後ろを歩く人間の方が早足になれば、自動的にリードはたるみます。
もともとリードがたるんでいれば(こうであるべきです)、よりたるんだことは犬にとってあまり気にならないようですが、万が一リードが張り気味の状態からたるむことになると、「あ!緩んだ!」という感じで犬も早足になってしまうことがあります。
そもそもリードを張るべきではないですが、こうならないためにも常に最適なリードの状態を保つよう心掛けておきましょう。
興奮状態の犬の場合は、おそらくこの時点でリードが張りきってしまっていると思います。
この場合は早足になっても犬のペースが上がるだけですので、アンテナの手で徐々にブレーキをかけながらゆっくりと足を止め、立ち止まった状態から(2)以降の動作をはじめてください。

(2)アンテナの手でリードを手繰りながら犬に近づく
たるんだ分のリードを手繰りながら犬に近づいていきます。
ここで大切なのは、犬を「手繰り寄せる」のではなく自分が「手繰り寄る(?)」ということです。
フックの手はもともと腰のあたりで固定されていますね。
アンテナの手は腰のすこし前でリードに触れているはずですので、リードを引くことなくそのままの位置で握ってください。
今は早足で進んでいますので、アンテナの手の位置を変えなければ(自分の体勢のことではなく空間的に)、自然とフックの手がアンテナの手に近づいていくはずです。
動きながらリードを縮めていくときは、アンテナの手から犬に向かって伸びているリードが張りきる前に、フックの手がアンテナの手にたどり着くようなペースで進んでくださいね。
立ち止まってリードを縮めていくときは、力の支点となるアンテナの手がぶれないように(引きずられも引っ張りもしないように)気を付けてください。
いずれにしても、フックの手がアンテナの手に触れる位置まできたら、それまでにたるんだ分のリードをフックの手に引っ掛けます。
フックの手でリードを握ったら、アンテナの手を犬側のリードの下に滑らせ、肘が伸びきる前あたりで再びリードを握ります。
進むうちにまたフックの手がアンテナの手に近づいてきますので、それまでにたるんだ分をフックの手に引っ掛けます。
この繰り返しで犬に近づいていきましょう。
ここで大事なことは、絶対に「アンテナの手をフックの手に」近づけようとしないことです。
それはリードを引っ張って犬を引き寄せることと同じです。
必ず「フックの手をアンテナの手に」近づけるようにしてください。
左右の手を交互に前に出しながらリードを手繰っていってもよいのですが、このやり方だと犬との綱引きになりやすいように思います。
「引っ張らないで出来るよ!」という方は、左右の手で交互に距離を詰めた方が多少は早いかな?という気はします。

(3)ハーネスを握る、あるいは抱っこする
(2)を繰り返していくと、そのうち犬のすぐそばまでたどり着きます。
このように書くと長い時間がかかるように聞こえるかもしれませんが、焦らなくても数秒のうちに近くへ行けますのでご安心ください。
だんだんとフックの手から犬までの距離が短くなっていくので、どうしてもリードは次第に張ってくることになります。
それにともない、犬はゆるやかに前進運動を制止させられます。
犬を止める必要のないときは、適当なところでリードの回収をやめ、そのまま基本姿勢に戻っていきましょう。
完全に犬の進行を止めなければ対処できない危険のあるときは、状況に応じて以下の対応をなさってください。

中型犬以上の場合
犬のすぐそばへ着いたら、中型犬以上であればハーネスの背中の部分をやさしく握ります。
リードの付け根を持てば犬は前後に動けなくなりますが、左右にはまだ動けます。
しっかり持っているつもりでも、左右に動いているうちにいつの間にか犬が前進してしまうことがあるので、リードの付け根ではなくハーネスを直接握ることをおすすめします。
誰かとすれ違うシチュエーションであれば、そのままの状態で相手が通り過ぎるのを待ちましょう。
自然にハーネスを握れる体高のない犬の場合は必要に応じてしゃがんでください。
怒ってしまう子であれば、自分のからだを相手との間に入れ、なおかつ犬の顔を相手に向けないようにし、すれ違いの間だけオヤツをあげてもいいかもしれません。
前方に危険物があるというシチュエーションでは、そのまま犬の前を横切るように動き、犬の進行方向を変えましょう。
犬にとって興味のない危険物か、興味があっても犬がそれに気づくより先にこの動作に入れたときは、これだけで自然に方向転換してくれることが多いと思います。
チョコレートやコロッケなどの犬が好ましく思う危険物にかなり接近している場合は、それだけでは方向を変えられない場合もあります。
そのときは、

・危険物が小さい場合はそっと靴で踏みつけ、犬が興味をなくすまで待つ
・危険物が靴からはみ出るほど大きい場合は、行く手をからだで遮りつつオヤツで誘導する

このような対処をする必要があるかと思います。
いずれにしても犬が違う方向へ動いてくれたら、リードを素早く緩め、基本姿勢に戻りましょう。

小型犬の場合
上記の対応は小型犬にも使えるものですが、小さい子であれば抱っこしてしまうというのもひとつの手ではあると思います。
ただし、すれ違いの場合は、抱っこすると怒る子、抱っこしないと怒る子、飼い主さんがしゃがむと怒る子、いろいろだと思いますので、その子その子に合った対応を考えてあげてください。
あえてすれ違わなくてもいいだけのスペースがあるときは、抱っこあるいは誘導によって少し移動して、そこからおさんぽを続けるのもありだと思います。
危険物の場合も基本は大きい子と同じですが、小型犬の場合は、

・抱っこして現場からワープする

 という選択肢が増えます。
でも、抱っこを嫌がる素振りをみせたときは、この方法は諦めましょう。

共通する注意点
これらの介入は自然散歩の本来の目的からは外れたものです。
そのことを肝に銘じ、必要のないところで多用しないように注意してください。
「危険物」というあいまいな言葉を使いましたが、チョコロールは危険かもしれませんが、食パンの耳は危険か?と改めて言われれば、そうでもないですよね。
拾い食いは嫌なものですが、犬にとってそれが「危険」なものかどうか、そのたびごとに冷静に判断するようにしてください。
すれ違いの場合も、そこを通る人や犬が必ずしも「危険」なわけではないでしょう。
三大原則の「状況を見極める」にかかってきますが、本当の危険を見逃さないことと同時に、本当は危険でないものを過剰に恐れるのはやめましょう。
そして、これが一番重要なことですが、上記の方法を自分の都合のために使うことだけはおやめください。

 
危険回避のイロハ
リードのさばき方がだいたい分かったら、次の問題は「何を危険と判断するか?」です。
上でも書きましたが、危険を恐れすぎては楽しく自然散歩をすることなどできません。
かといって、楽しい自然散歩をしていたら犬が死んでしまった、というのでは本末転倒です!
ここではわたしなりの危険回避術(?)をご紹介いたします。
イ、犬の性格を知る!
自然散歩をするとよく分かりますが(しなくてもだいたい分かりますが)、犬には個性があり、それぞれの好みがあります。
同じ出来事に遭遇しても、何が「危険」で「危険」でないか、その子によって判断の基準は変わります。
「危険」について判断する前に、その子の性格を把握しましょう。
同じ人や犬とすれ違っても、全然問題なく通り過ぎることができる子もいれば、怖くなって吠えてしまう子もいます。
逆に、犬が好きすぎ、大興奮しすぎて、相手にとって「危険」な犬になってしまう場合もあります。
食べ物でなくても口にしてしまう子もいれば、食べ物にすら全然興味がない子もいます。
その子が何を許容し、何を許容できないか、あるいは何に会ったときにどのような反応をすることが多いか、犬をよく観察して自分なりの答えを出しておきましょう。
観察の結果、「危険」の枠から除けるものもたくさんあるはずです。
その子にとって「危険」でないものが分かれば、それについてはそもそも避ける必要がなくなります。
ロ、ローアングルに負けるな!
人間の方が犬より視点が高いので、犬よりも遠くのものまで見ることができます。
この利点を生かし、進行方向全体をざっくり見渡して、明らかな危険がないかあらかじめ把握しておきます。
何かそれらしきものを見つけたら、そしてそれが明らかに「危険」レベルのものであれば、この段階でさりげなく進行方向を変えてしまいましょう。
Uターンしたり90度曲がったりするわけではなく、おおまかな進行方向を変えるだけですので、この段階であれば自分の立ち位置を少しずらすだけで十分です。
犬のからだに触れたり、リードを短くしたりする必要はありません。
広い意味ではこれも「誘導」に含まれるでしょうが、危険を避けるためになし得るもっともソフトな方法であると思います。
犬の鼻は人間の目よりもずっと優秀です。
犬が何かのにおいに気付き、それを追い出したら、何に引き寄せられているのか人には分からないうちに、犬は対象にたどり着いてしまいます。
犬が対象に気付く前に、犬より高い視点を生かして危険の芽を摘んでしまいしょう。
ハ、早い対処が何より大事!
全体サーチですべての「危険」を発見できるわけではありません。
でも、普段からよく犬を観察していると、「危険」ゾーンに突入する前の合図を感じ取れるようになってきます。
その子によって反応は違うと思いますが、わたしの犬の場合、対象が人や犬であれば、尾を立て、ピンと背筋を伸ばし、緊張した顔をしはじめます。
このまま無造作に接近すると、相手に向かって駆け出したり、吠えてしまったりする可能性が高いです。
人や犬を見つけても、チラッと見てにおい嗅ぎに戻るとき、変わらずに歩き続けているようなときはすれ違っても大丈夫です。
また、におい嗅ぎ自体を楽しんでいるときの嗅ぎ方と、食べ物を見つけたときの嗅ぎ方が違うことにも気付けると思います。
わたしの犬の場合は、楽しんでいるときはフンフンフン…という感じで頭が動いており、頭が動くことによって鼻が移動する感じです。
一方、食べ物を見つけたときは、鼻にひきずられるようにして体が前進していきます。
ミミズや蝉など、食べ物以外にも好きなものはありますが、鼻に操られる状態になるのは食べ物のときだけです。
この段階で、わたしの周囲には何か犬の気を引く食べ物=拾い食いの危険があることが分かります。
こうした犬の変化に気付いたら、犬の顔の方向に進むのはひとまずやめておきましょう。
この段階になっていると、犬ははっきりと「危険」の方向に進みたがります。
リードのさばき方で書いた「リードを縮める」の方法を参考に、出来るだけソフトに方向転換を行いましょう。
犬より先に対象を発見できたときとくらべ、この場合は介入の度合いが格段に高まります。
しかし、ここで方向転換できなければ、もっともっと直接的な介入をして、犬を危険から引き離す必要が出てきてします。
「おかしいな」と感じたら、すぐに行動にうつりましょう。
「本当におかしいかな?」などと考えているうちに、後戻りできない状況になっていることもあります。
ここが最終ラインだと思って、犬の変化を見逃さないよう気を付けてみてください。

最初に戻って…
いろいろ書いてきましたが、あまりに危険(かどうかを判断すべきもの)が多すぎてあなたの心が休まらないようであれば、また、危険回避のための介入の必要が多すぎて犬が自由にできないのであれば、そもそもその場所は自然散歩に適していません。
せっかく見つけた場所を諦めるのは悔しいですが、ここはいさぎよく最初に戻り、自然散歩に適した場所を探すところから始めましょう!

 
実際におさんぽを始めると、ここに書いたことでは収まりきらないことも多々あると思います。
わんちゃんとともに試行錯誤しながら、あなたとあなたのわんちゃんの自然散歩を見つけてください。
疑問点、ご質問などございましたら、どうぞご遠慮なくご相談ください。
わたしでお答え出来ることはお答えいたしますし、深刻な問題についてはインストラクターの先生をご紹介させていただきます。


自然散歩は難しいおさんぽ方法ではありません。
どうか、あなたのわんちゃんにも、自然に行動する機会を与えてあげてください。
最初はとまどうこともあるかもしれませんが、いずれ、これまで見たことのないわんちゃんの笑顔が見られることをお約束いたします!